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神化論のハロウィン小話その2。

2020.10.30

季節のイベントの中ではハロウィンが一番好きです。
なぜなら、創作で一番かわいいイラスト描けるのがハロウィンじゃないですか!

おばけの仮装というのが私の中でドツボなんですが……人によっては夏の水着の方がいいんでしょうかね。
まぁ、水着を描くのも楽しいけども。

そんなわけで明日はハロウィンですね。
明日はハロウィン絵と、あとハロウィン漫画をアップ予定です。
神化論afterの更新は4日から再開できればいいな……!




▼今日はレイリスとマギのハロウィン小話です。
これ発掘した時、全然ハロウィンっぽくなくて笑いました。
レイリスとマギっていう、組み合わせがヤバイやつですからね……。

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「そういえばマギ、あなたはこういう風習があるの知ってる?」
 
 口許に薄い笑みを湛え、レイリスが問う。彼の前に立つマギは、不機嫌そうな声で「何を言っている」と返した。
 一見悠長な会話をしているように見える二人の周囲には、山道の一部を縄張りとしている山賊たちの姿。手にそれぞれ武器を構えた彼ら数十人は、マギとレイリスを取り囲んでいた。彼らにとってうかうかと縄張りに入り込んだ二人は、自分たちの欲を満たす格好の餌食なのだ。
 異常な状況でもレイリスのマイペースは変わらない。彼は笑んだままで、マギに言葉を続けた。
 
「ボーダ大陸の一部地域ではね、ある季節になると死者が家を訪ねたり怖いお化けが人々を脅かしに来るって信じられているの」
 
「……それがなんだ」
 
 マギは山賊のリーダーらしき男を鋭く睨みながらも、レイリスのよくわからない話に返事を返す。
 
「それに因んだお祭りがちょうど今くらいの季節に、その地域では行われているのよ。そのお祭りの内容がたしか、子供たちが怖い格好して『お菓子をよこせ。くれないと悪戯するぞ』って言ってお菓子を貰うとかなんとか」
 
 レイリスがそこまで説明した時、山賊の一人が「何を話してんのかしらねぇが」と、二人に声をかける。
 すでにカスパールを構え持ったマギは、レイリスが何を言いたいのか分かり始めて、カスパールを構えて口許を愉快に歪めた。
 
「有り金と金になりそうなもん全部出しな。出さねぇって言うんなら、ちょっと痛い目見てもらうぜ」
 
 山賊の男のその言葉に、マギはレイリスが何で突然一地方の風習の話をし始めたのか理解した。
 
「ほら、なんかこの状況ってそのお祭りに似てなぁい? 金をよこせ、よこさないと悪戯するぞーって」
 
「フンッ……お前の思考回路が欠陥だらけの粗悪品だということは前々から知っていたが、たまには粗悪品なりに面白い発想をするな」
 
「あ、ひどーい」
 
 マギの返事にレイリスはちょっと怒った顔をする。彼の抗議など相手にせず、マギはこう言った。
 
「だが俺は見ず知らずの馬鹿に菓子をくれてやるようなくだらん優しさは持ち合わせていない」
 
「あたしもそれは同じ。良い子にはお菓子あげるんだけど、悪い子にはあげらんないわ」
 
「フッ、悪い子か」
 
 マギは山賊たちに笑みを向ける。笑んだ彼の青い目は、獲物を狩る猛獣のそれと同じだった。そのマギの目付きに、余裕の笑みさえ浮かべていた山賊だちの表情が強張る。彼らは油断を止め、戦闘態勢をとった。
 
「大人しく俺たちの言う事を聞いてりゃいいものを……」
 
「悪いが俺はお前らガキが喜ぶような菓子を持っていないんでな。だから代わりにお前らには、最高の死に方を与えてやろう」
 
 マギの挑発的な言葉が合図となる。一斉に襲い掛かる山賊たちに、マギとレイリスは冷たい微笑みを向けた。
 
【END】

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